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究極のミニマルデザイン\n  - 縦置きのパイオニア -

究極のミニマルデザイン
- 縦置きのパイオニア -

「これ以上、何も省けない」──。
 2006年の誕生から、2026年で20周年を迎えるDUENDEのマスターピース「STAND!」。 今では当たり前となった「縦置きティッシュケース」の先駆けであるこのプロダクトには、知られざる誕生の背景とデザイナーのこだわりが詰まっていました。

今回は、DUENDEのブランドマネージャー・酒井浩二さんに、その舞台裏をざっくばらんに語っていただきました。


名作「WALL」の終了と、工場との絆

-WALLシリーズが廃盤になって、このSTAND!が一番古いDUENDEの製品になったのですね?

そうなんですよ。WALLラック、ハンガーは、人気もあった製品だったんですが、昨年に販売を終了しました。開発段階からいろいろ協力してくれ、何度もチャレンジしてくれた工場の社長が若くして他界され、生産が困難になりまして。ずっと継続してくれてるからと、生産コスト的にも合わない状態でかなり協力してくださっていたので、その方の冥福を祈りつつ、きっぱりと終了としました。

-そんな経緯があったんですか。

そうなんです。プロダクトは、作ってくれる工場がなくなったら、世の中から消えていくということですから。

-確かに、作れる工場がなくなれば、作れないってあたりまえのことですが、あまり意識はしていませんね。

もちろんマーケットのニーズが高ければ、とか、構造を簡素化してもっと安価な製品が登場することで、「これで十分でしょ」という消費者の選択によって変わってくることだとも思いますよ。北欧の家具とか、設計から導き出して無駄を省いた名作チェアーとかは、偽物やリプロダクト製品が出ても、本物指向の人は本物を求めますし。そこに価値を感じない人は、本物でなくてもいいという、別の価値観をもっていますので。

-そうですね、仮に本当に良いプロダクトであっても必ずしも世に残る訳ではないですし、もう手に入らないプロダクトもたくさんありますからね。


「縦型」が当たり前じゃなかった時代の衝撃

-STAND!は、本物と言える製品だと思うんですが。

いろんな意味で本物です(笑)。まず、縦型ティッシュケースって昔は無かったですし、それを立てちゃうって。

-ほんとうに。今は寝かして使うタイプもあれば、立てて使うタイプが選べる感じが普通ですけど、昔は全部寝てましたね。

そう、ティッシュは上に引っ張って取るのが当然だったけど、今は手前に引っ張るのが普通なんで。

- 確かにそのジェスチャーの通りでした(笑)。

20年前の写真なのでだいぶ画質は荒いですが……。

 

当時はほんとに画期的だった訳ですよね?

プロダクトデザイナーの金山元太さんが持ち込んだプロトサンプルを見た時は、驚愕でしたよ。

- 縦型が無い時代だったら、そうなりますね。

時代って、すでに平成だったけどね(笑)。まあ、あたり前になったことが、あたり前じゃなかったことって、そんな時代って感じかもね。家にしか電話がなかった時代、みたいな。

-(笑)それはだいぶ古い感じですけど。もうSTAND!が出てから20年ですか?

2006年だから、2026年は20周年になりますね〜。



削ぎ落とされたデザインの真髄

- 20年前のプロダクトていうと、すごい昔って気がしますけど、全然古さを感じないですね。

それ、究極なんだと思うんだよね。さっきの元太さんが持ってきたプロトサンプル見た時ね、「これ無印じゃん」って思ったことで。

- 無印良品ですか?

そうそう、無印って、今は変わってきた印象はあるけど、以前はああいうシンプルで削ぎ落した製品は、無印の製品って感じだったのね。今はどこでもそういう感じだけど、僕らの世代は、それを始めて作ったのが無印で、他にはなかったのでね。

-だから「無印」と感じたんですね。

そうそう、もうこれ以上省けない、どシンプルで、無印に並んでたら納得、というか。

 

無印のコンセプトが「機能性を叶える無駄を省いたデザイン」であって、だからこそ飽きの来ないプロダクトが多かった訳だから。
このSTAND!も、縦型だから邪魔にならない、ティッシュを抜いても手前に倒れたりしない、という機能性を叶えて、あとは無駄を省きに省いて、この形に辿り着いた。究極のデザインになったと。


驚愕の構造
底蓋がないのに「落ちない」理由

 

- そういうことなんですね。

見た目じゃないんだけど、底面に裏蓋がないことに、さらに驚いたの。

- 空きっぱなしってことでしょうか。

なんかさ、普通は裏蓋みたいのがあって、しっかり閉じてる印象だと思うんだけど、

「あれ?蓋ないんだ、へぇ、でも持ち上げたらティッシュボックス落ちてきちゃうじゃん」と思ったら、5cmの幅のティッシュボックスに合わせて設計してあるから、箱を押し込むと、底の縁に「スコッ」とはまって、立てても落ちてこないんです。

- !!!

まじで??

-(笑)

 

ほんとにそんな温度よ。「これサコッて入ったら、落ちてこないって、まじかよ……」って。オトナなのに言葉が悪くてすいません。

-大丈夫です(笑)。

でもね、ほんとうにそういう気持ちだったの。信じられないという気持ちね。でね、その縁(ふち)が、この箱状に作られた構造のキモというか。この縁がないと、強度として持たない訳。

-ええ?製品としての強度ですか?

そう、この曲げた縁を溶接してくっつけてあるから、この箱状を維持できてるの。そうじゃないと、簡単に歪んじゃう。だから、この縁は「ティッシュボックスが落ちてこないため」でもあるけど、「構造的な役割」も果たしている縁なの。

-(笑)そんな縁なんですか?

(笑)そんな縁なんだよ。だからこれ以上ほんとうに省けない、これ以下?どっちかわからんけど、すごい究極じゃんよって。失敬、これ絶対製品化しないといけないプロダクトじゃないですか。となった訳なんです。

-そういうのを含めて考えたら、間違いなく究極のデザインなんですね。

はい。だからこの先何年経ったとて、このデザインは古くならないと言い切れますね。

- この先時代が変わって、デコラティブな製品が主流になったとしても、それは一時的な流行り。インテリアはアパレルと違って流行の入れ替わりが激しくないですし、STAND!はパイオニアであって、一つの「完成形」と言えるかもしれないですね。

この世にティッシュがある限りね(笑)。

- そこはなくならないと思います(笑)。ありがとうございました。また面白い話を聞かせてください。

こちらこそ。また色々話させてください。

 

 

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